乗馬を始めるきっかけ、ある馬に一目惚れした話
乗馬を始めようとしたきっかけであり、今通っている乗馬施設で続けるモチベであり、ブログを始めるきっかけにもなったお気に入りのお馬・ガジュと出会った時の話。
というか、乗馬を始める決定打になった話?
癒しを求めて馬を見に行った
2021年の1月末の月曜日、どうしても会社に行って仕事をするやる気が全く起きず、有休を取って電車に乗って図書館へ行くなどしてぼんやりと過ごしていた。
年に何度か襲ってくる、本当に何のやる気も起きない平日でだった。
「何がしたい?何ならできる?」と思った時、「馬が見たい……」という自分の声が聞こえてきたので、*1グーグルマップで検索して平日の午後から馬を見れる場所を検索。
見学やえさやり体験は予約なしでもOKとのことだったので、さっそく向かってみることに。
施設に行くと、馬が普通にいる環境にまずびっくり。
これまで競馬や牧場の動画でしかサラブレッドを見たことがなかったので、洗い場や馬場にいるのを見て、その大きさと、生の馬が動いたり歩いたりしている状況に驚いた。
えさやり体験をするために厩舎へ
透明カップに山盛りに入った牧草・ペレットを購入して、馬たちの住む厩舎へ。
すると、キラキラした目でエサ入れの方へ親しげに寄ってくる馬、「ヒヒーン!!」といういななく馬、ドン!と壁を蹴る馬、ガタン!とえさ入れを口で持ち上げて音を立てる馬、鼻と口元をパムパムと鳴らす馬、鉄格子をペロペロする馬、せわしなく動き回る馬など、それぞれ個性溢れる多種多様なアピールをしてくる。お隣同士で喧嘩している馬もいる。
(興味なさそうにお尻を向けている馬も一頭いたけれどそれも個性だ……)*2
そんなエサくれ猛アピールの洗礼を両サイドから受けるとあげない訳にもいかず、一頭一頭名前や血統の書かれたプロフィールを読んで様子を観察しながら、カップにたった一杯のエサをチョビチョビとあげていく。
絶対手前の馬房の馬ほどもらっているに違いない。
ある黒馬との出会い
そんなめちゃくちゃ騒がしい厩舎の通路を進んでいくと、一番奥の馬房でやたら物静かにしている黒馬がいた。他の馬房に比べるとあまりにも静かな様子で、そこだけ雰囲気が違った。
鉄格子のそばにいるので、エサを欲しがっているんだろうとは感じるけれど、ただじっと静かに、まんじりともせずにこちらを見つめているだけ。他の馬のようなアピールがない。少なくとも分かりやすいアピールは全くなかった。
そのまましばらく、こちらを静かにじっと見つめていたと思ったら、柵越しにぐいっと顔を近くに寄せてきた。近い。急に近くなる距離感に思わずドキッとしてしまう。なんだこれ。
額の星がかっこいい黒鹿毛の子。顔が良い。いや、みんな顔は良いんだけれど、鼻の太さや目の大きさとかパーツの配置とか色々好みに刺さりすぎる顔だった。タイプの馬の顔ってなんだよ、と普通の人には引かれそうだけれど個体や遺伝によって結構違うんだ……。
とにかく見た目がとっても綺麗でかっこいいと感じた。纏ってる不思議な雰囲気の効果もあるかもしれないけれど。ちなみに靴下は履いていないので毛が白い部分は額の星だけ。
素敵な出で立ちだったので、もちろんエサをエサ入れに入れて与えてみた。
すると、他の馬ならすぐに食べ始めるところを、変わらずにこちらをじっと静かに見つめ続けている。何だこの子……。
気付いていないのかな?と思い、もう一度エサ入れに入れたら食べ始めたので、気付いていなかったのか、もっと欲しかったのか、それとも他に気になることがあったのか……。
食べ方も静かで、食べ終わるとまたじーっ……とこちらを見る。おかわりちょうだいという意味だったのかもしれないけれど、他の馬と雰囲気が違うというか不思議なオーラを終始感じた。
その子の馬房は厩舎の一番奥。なので、そこに辿り着くまでにカップのエサはほとんど他の馬にあげてしまった。
けれど、この子にもっとあげたいな……色々な様子を見てみたい……と思って、管理棟までもうひとカップおかわりを買いに行くことにした。
その子の馬房から離れると、その目がこちらをじーっと追ってきてくれる。離れても、振り返って見ると柱越しに見切れながらもこちらを見ている。
うーん、印象的……。(普通に考えれば「もっとくれないかな」の視線だろうし、こちらが視線送っているからかもしれないけれど)
そんなこんなで、その子に多めにあげてみようと思って2つ目のカップを買って奥の馬房へ向かったら、レッスン会員の貴婦人がちょうど彼を引いて出ていくのとすれ違った。なんてことだ。ショック。
でも、引かれていく姿も大人しく落ち着いていて、かっこよかった。
その後はカップのエサを他の馬にあげて、厩舎見学中に声を掛けられて次の日曜日に体験乗馬の予約をして帰った。
帰り道はその黒鹿毛馬、タガノガジュマルくんのことで頭がいっぱいで、「また会いたいなあ」と幸せな気持ちになっていた。
入会 〜再会は突然に〜
その後は、体験乗馬を経てあっさりその施設、今のクラブに入会した。
コロナ禍で出かけることも趣味の楽器もできず、また、自分一人でも楽しめる新しい趣味を探していたのもあったから。
上のクラスのレッスンを眺めて、何だか馬も楽しそうに走っているように見えたことがあって、「私もあの子をあんな風に活き活きと楽しそうに走らせられるような乗り手になれたら」と漠然とした目標も持ったりした。
「自分はまだまだ赤ちゃんだから、まだあの子には乗れないけれどいつかあの子に乗れるように頑張るんだ……」
そんなことを勝手に思って、怒りっぽいおじいちゃん馬・ワードさん*3に乗っていたところ、2鞍目のレッスンで早速同じ部班レッスンで他の人が乗っているのに遭遇。4鞍目で自分が乗ることになった。
ええ、こんなすぐにレッスンで現れる子なの?と、驚いた。彼は初心者向けの練習馬だったらしい。ここに来る前は千葉の乗馬施設で子どもを乗せていたという。他の馬に比べて小柄な子なことも、入会してから知った。
最初に乗ってみての感想は「乗馬での相性は合わないかも……」だった。
小股でちょこちょこと一生懸命走る、反動が大きいタイプなので、焦りがちな自分には合わない気がした。
けれど、やっぱり好きだったので、「遠回りになってもいいからこの子に乗りたい、じゃないとここで始めた意味がないな」と思って定期的に乗り続けた。
(というか、週一はガジュマル成分を摂取して癒されたかった的な……いや、他の馬でも癒されるけれど……)
すると、回数を重ねていく毎に相性の合わなさというのはあまり気にならなくなっていったし、今では慣れている分、乗りやすいと感じる。あと、彼にこだわったことは特に上達の遠回りにはなっていないと感じる。
まとめ:推し馬が尊い。
「どんな子なんですか?」と指導員さんに聞いてみたり、実際に馬場での様子を見てみると、馬房で見た第一印象とはまた違った新たな一面がどんどん見えてくる。
いい子でのほほんとしているけれどマイペースで、他の馬がしないようなことをするかなり変わり者の馬。雨や雪の日は馬が変わったように豹変する。趣味は馬房の窓から車や景色を眺めること。
実際に時間を重ねて接してみれば、自分への態度も変わってくるし、伝聞ではない自分だけが体験したエピソードも増えてきて楽しい。
これまで15鞍乗っただけでも、毎回面白いことや変なこと、可愛くて仕方ない所やかっこいい所、ひと鞍ひと鞍に何かしら発見や変な出来事がある。
初めて乗った時はマフラーのフリンジに興味を示されて引っ張られ、ゆっくりと首を絞められたりしたなあ……。
最近では顔を寄せて甘えてくるので、こちらからもギューッとハグをしてみる。最の高に癒される。脳みそ溶ける。
こうして、初めて見た時のことを書いていたら「だいぶ仲良くなったなあ」なんて嬉しくなってしまった。
それでもやっぱり、毎回毎回何かしら予想外のことをしでかす馬なので、ミステリアスな印象は出会った時から変わっていないのかも。
ただ私はますますガジュ沼に落ちて、今もなお抜け出せなくなっているのであった。
最早偏愛だと思うし、ここまで入れ込むのちょっと変態じみてないかなとも思うけれど、好きなものは好きだし、それで毎日の活力になって楽しく生きていられるからいいよね、と自分で自分を許してあげたい。
あとはエゴな偏愛じゃなくて、好きなお馬のことをちゃんと幸せにしてあげることができればいいと思う。(重い)
何が言いたいかって、ガジュくんが好きすぎて生きるのが楽しいんじゃあ〜〜〜〜〜。生きていてくれてありがとう本当。大好きだから元気に長生きしてマジで。
おまけ:偏愛ギャラリー
これまでに描いたガジュの絵を貼っておきます。当然ですが実物はこの1万倍キュートで綺麗でかっこいいです。
*1:「馬が見たい」というのは、もともと競馬や乗馬に興味はあって、馬が好きだったから。その時からデッサン本とかを見て馬の絵を描いたりしていた。具体的には、2009年産の競走馬が好きだった。ブログのタイトルとかも好きな競走馬の名前やあだ名から取っていたりする。
*2:今になって思うと、その時間帯はお昼ご飯も食べて落ち着いて、休日ならレッスンに出てバリバリお仕事している頃だけれど、人がいない平日で暇を持て余していたおやつ時だったのかもしれない。おやつを欲しがるお馬達が厩舎に揃っている状態だった。
*3:怒らせないように乗ると正しい乗り方が身に付くので、自分的には初心者の最初の壁であり教師な鬼教官キャラのイメージ。小娘や小僧(初心者)の言うことは聞いてくれないけれど、子供には無体なことはしない。かっこいい。